私の片想い事情 【完】

え?私番号教えてないよね?と思いつつ恐る恐る開くと、


『大丈夫?二日酔いにならないように早く寝ること。あっ、クーラーはちゃんと消すんだよ』


とかわいい絵文字付のメッセージが送られていた。


ってか、この絵文字やスタンプの使い方……私より女子力が高い。


『何で携帯の番号知ってるの?』


と絵文字も顔文字も無しで素っ気なく返信した。


するとすぐに返信が帰ってきて、


『居酒屋で番号交換したじゃん?』


とこれまたかわいい怒りマークの絵文字と変なパンダのスタンプ付きで返された。


そのブサかわいいパンダのスタンプにプッと吹き出して笑っていると、またすぐに瀧川君からのメッセージが入った。


『今夜のことは忘れないで。俺の言ったことは全部本気だから』


と今度は絵文字なしの真面目な内容。


エアコンと扇風機の風で治まった暑さが一気にぶり返したように、急に身体が熱くなる。


うう、これこそ変な絵文字付きで冗談ぽく流してくれればいいのにとぐっと携帯を握りしめる。


どう返信していいか悩んでいると、


『忘れて欲しくないけど、今夜は何も考えないでちゃんと寝て』


と私の思考を読んだようなメッセージが送られてきた。


うう……ここに盗撮カメラでもあるのか?と私はモゾモゾとシーツの中に潜りこんだ。


頭もシーツで覆い隠し、私は、『おやすみなさい』とだけ送信して携帯をスリープ画面にした。


またピロロンと携帯が鳴っていたが、もう開く勇気はなかった。




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