私の片想い事情 【完】

躊躇う私をよそに、静香さんは一方的に旅行のスケジュールと、隼人の弟彰人君の学校の予定を伝えてくる。


どうやら、彰人君の部活の朝練が始まるらしく、お弁当を二つ用意して欲しいらしい。


と言うことは、また泊まりこみ?


私は、はぁぁぁと溜息をつく。


「静香さん、私今週はちょっと……」


何か断る理由がないか模索していると、それを言う前に「みなみちゃんしかいないの」とお願いされた。


「最近、隼人の機嫌も悪くて、飲んで朝帰りのことも多いのよ。あの子、二日酔いのときって、私のご飯食べないじゃない?」


それは、あなたが、二日酔いの隼人にカレーや丼物を出すから、と言いかけて、飲み込んだ。


彼女は彼女なりに一生懸命なのだ。


「ねぇ、みなみちゃんが頼りなの」


う……。私は彼女の「みなみちゃんが頼りなの」に弱い。


「隼人、生活も荒れてて、ひどいのよ」

「そう、なんですか」


静香さんの深刻な様子に私は少し驚いた。


隼人は、仕事先では普通にしていたから全然気づかなかった。


まぁ、私は週の半分を休んでいたし、余り話す機会がなかったけど。


「ちょっとだけでいいから様子見てきてくれない?」


「ね、お願い」と念押され、私はついわかりましたと返事をしてしまった。


頷いたは最後、静香さんは、鼻歌を歌わんばかりの機嫌の良さで「お土産楽しみにしてて~」と一方的に電話を切った。




< 159 / 480 >

この作品をシェア

pagetop