私の片想い事情 【完】
「隼人が最近飲み続きでろくな物食べてないって静香さんが心配していたから、今日は野菜たっぷりのポトフと焼き魚にしようと思ったんだけど?」
「げぇ!肉食いたい、肉!」
「どーせ、居酒屋で串カツや焼き鳥ばっか食べてたんでしょ?たまにはお魚も食べないと栄養のバランス悪いよ」
「お前は、俺の母親か?」
「母親の静香さんの言うことを聞かないからでしょう?」
「静香さんは母親じゃねぇ」
「隼人!」
売り言葉に買い言葉。
つい口に出してしまったその言葉に、隼人もバツの悪い顔をする。
私は、氷の入ったグラスにお茶を注いで、隼人の前に出す。
ふてくされる隼人の隣に座り、顔色を伺う。
「静香さんとうまくいっているんでしょ?」
「別に、普通。あの人はすごくよくしてくれるし、不満もない」
「そう……」
「今のは、口が滑っただけ」
隼人はグラスについた水滴を指でつうっとなぞる。
何か考え込んでいるときの隼人の癖。
口が滑ったっていうことは、本心はそう思っているってことじゃない。
私は、隼人に気付かれないように、静かに溜息をついた。