私の片想い事情 【完】
「静香さんは、親父の奥さんで、彰人の母親で、俺にとっては、単なる同居人」
黙っていた隼人がぼそっと呟く。
その姿はまるで小さな子どものよう。
「そんな言い方ダメだよ」
「あの人が言ったんだよ。深く考えないでって」
「静香さんが?」
「そ。親子ごっこなんてしなくていいからって。だから俺はそれに甘えている。」
「そっか……」
もっと言いたいことがあったけど、普通の家庭で、両親ともに恵まれ愛され、平和に暮らしてきた私に、隼人の気持ちなんてわからない。
一度私のアパートに、おばあちゃんまで引き連れてお父さんとお母さんがやってきたとき、そのすざましい田舎パワー丸出しに、隼人が「お前は羨ましいな」とポツリ零した。
その時の隼人の表情がすごく切なくて、私は気付かないふりをして、どこが?と冗談めかしに笑っていた。
私はその時の隼人の顔を思い出し、何も言えないまま、黙って隼人の肩に頭を乗せた。