私の片想い事情 【完】

瀧川君の腕から逃れたはいいは、その後が大変だった。


瀧川君は宣言した通り、私に一斉攻撃をしかけてくる。


ことあるごとに「みなみさんかわいい」を連呼され、ささいなことでも女の子扱いしてくる。


過剰なスキンシップはとどまることがなく、普通の会話で腰に手を置かれることに慣れつつある私は、完全に彼の罠にはまっているのだろう。


なるべく隼人にそんな姿を見られないよう、プールでは瀧川君と極力距離を取り、事務所では隼人と顔を合わせないようにした。


幸い、JOの予選会が近づき、クラスの間はふざけることなんてできないくらい緊迫していたし、クラスの間の休憩時間も保護者の対応で追われていた。


そして、隼人は特別教室がある間は早番なので、帰りも一緒になることはない。


帰り道、瀧川君に手を握られ最寄りのバス亭まで送られる、そして寝るギリギリまで繰り返されるラインのやり取り。


多忙な中、彼はとっても強引に、そして上手に私のバリケードを崩していく。


だって、こんな風に「好き」って面と向かって言われたことなんてないし、女の子扱いしてもらったこともないもの。


「危ないよ」と言ってさり気なく車道側を歩いてくれたり、「女の子なんだから」と必ず送ってくれる、そんな彼の優しさが、私の心の中の乾いた部分にじんわりと温かい幸せをもたらしてくれる。


そして―――


瀧川君の総攻撃から逃げながら、捕まりながら、一週間。私は徐々に彼の射程圏内に追い詰められ、とうとう断り続けた「ご飯に行こう」攻撃を真正面から受けてしまった。




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