私の片想い事情 【完】

唯一の取り柄の一途な想いさえも揺らいでしまっては、私には何にも残らない。


ああ、そうか―――


何だか納得。


私は一途に隼人を想っている自分がかわいくて好きだったんだ。


隼人の傷を癒してあげたくて、友達でも傍にいたいと思える健気な自分に酔っていたんだ。


もしかしたら、隼人が好き、と知らず知らず暗示をかけていただけなのかもしれない。


そして、その暗示は瀧川君という存在に少しづつ解かれていく。


でも、６年もの間染みついたその習慣はすぐには抜けきらなくて。


もはや自分の性格の一部のようにがんじがらめになっていて、私自信が抜け出せないでいただけなのかも。


私の想いを「恋に恋している」とばっさり切った亜紀さんは、気付いていたのかもしれない。


私のこの弱さと狡さを。


だから、私には隼人は無理だと断言したんだ。


「さすが恋愛経験が豊富な人はちがうなぁ……」


どこか他人事のように呟き、私は冷たいシャワーを浴びてお風呂から上がった。