私の片想い事情 【完】
考え事をしていたせいか、かなり長い間お風呂に入っていたようだ。
身体は完全に逆上せてしまい、私はバスタオル一枚で、髪もかわかさずに水分を求めてキッチンへと向かった。
冷えたミネラルウォーターが、からっからの喉を潤してくれる。フラフラの身体を支えるように、カウンターキッチンに寄りかかり、二杯目を一気に流し込む。
電子レンジの液晶画面を見れば、デジタル表示のそれは2:30を示していた。
もうそんな時間?
相変わらず隼人が帰った様子はない。
お風呂に入るまでは隼人の帰りが待ち通しかったけど、今は……
今夜はこんな気持ちのまま隼人に会わない方がいい。
明日になったからと言って何かが変わるわけでもないけど、私には少し考える時間が必要だった。
風邪をひく前に服を着て髪を乾かそう、そしてさっさと寝てしまおう。
私は脱衣所へ戻り、2本のドライヤーを手に美容師並みの手際の良さでドライヤーをかけた。
ゴォーーーーと鳴り響くドライヤーの音。
乾かしながら温冷ヘッドスパが体験できるこの優れもののナノイードライヤーは勿論静香さんのもの。
髪を手櫛ですいていると、しっとりつやつやになるのがわかる。
バスソルトでしっとりと仕上がった肌にトロトロ艶々の髪は、自己嫌悪に陥ってしまった自分を少しだけ浮上させてくれた。