私の片想い事情 【完】
違和感を感じた隼人は、すぐに指を引き抜き、痛みに歪める私の顔を捉える。
隼人の瞳は驚きに染まり、困惑に揺れている。
「まさか……」
「な、に?」
「みなみ、初めてなのか?」
隼人の表情からは怒りの色が消え、焦っているよに思えた。
今更何を躊躇うというのよ。
「隼人どうしたの?」
私の頭の中は段々と冷静になっていく。
「みなみ、カズとしたんじゃないのか?」
「そんなこと、一言も言ってないじゃない」
「……っ……」
隼人は、一瞬瞠目し、小さく舌打ちをして、私の身体から離れた。
なんて間抜けなの。
Tシャツは捲り上がり、ずらされただけのショートパンツと下着。
隼人の衣服は全く乱れることがなく、それが私たちの温度差を示しているようだった。