私の片想い事情 【完】
「きゃあああぁぁぁぁ」
私は奇声を発して、身体を翻してキッチンへと逃げ込む。
「す、す、す、す、すみません、こんな恰好でっ」
もう恥ずかしいっ!ヤダ!最悪!バカバカバカ!
「あら、みなみ、似合っているからいいじゃない」
真っ赤になって冷蔵庫の前で蹲っている私に亜紀さんは頓珍漢なことを言う。
「そういう問題じゃありません!」
「みなみちゃん、俺気にしないから。それに、本当によく似合ってるよ。かわいい子が着るとエロくていいじゃん」
とフォローにならないフォローを入れてくる竜也さん。
またね、みなみちゃん、と言って竜也さんは、帰っていった。
いいえ、あなたとまた顔を合わせることはないでしょう。
私は心の中でそうつぶやいた。
四つんばいになって、ドアから顔だけ出す私に、亜紀さんは、バカ丸出し、と言って洗濯してくれたいつもの部屋着と下着を渡してくれた。
お礼を言って、洗面所でそれに着替え、私は夕食の準備にとりかかることにした。