私の片想い事情 【完】
夕食のメニューは、中華が食べたいと言った亜紀さんのご要望にお応えして、麻婆豆腐と棒棒鶏。美容を気にする亜紀さんの為に、野菜をたっぷり添えてあげた。
「元気になったようね」
ビールを片手に、亜紀さんは安心したように尋ねてくる。
「はい、お騒がせしました」
「結論は出てないみたいだけど?」
「う……」
「みなみはどうしたいの?」
咀嚼していた鶏肉をごっくんと飲み込む。
「どうしたいって……」
私がどうこう、というより、これは隼人の問題だ。
隼人が私を拒絶したんだから。
友達としても無理なような気がする。
そう伝えると、亜紀さんは、そうとも限らないわよ、と言って、テーブルの上にスマホと鍵を置いた。ピンクのカバーがかかったそのスマホとミッキーマウスのキーホルダーがついた鍵は、まぎれもなく私のもので、今日亜紀さんは隼人と会ってきたのだと気付いた。