私の片想い事情 【完】
「隼人、みなみが家を飛び出してから、ずっと探していたそうよ」
「―――え?」
「朝から何回も私の方に電話がかかってくるから、着拒にしてやろうかと思ったけど、ここに来られても困るしね。みなみは私の家にいると伝えたわ。さっき隼人に会って、みなみの携帯とアパートの鍵だけ受け取ったのよ」
突然の亜紀さんの話に、どう反応していいかわからない。
「みなみは何が聞きたいの?」
「―――聞きたい?」
「隼人の様子を教えて、って顔している」
「……っ……」
「隼人は寝てないみたいね。疲れた顔をしていたわ。まっ、当然ね、みなみにあんなことしたんだから」
「それで―――それで隼人は家に帰ったんですか?」
「ええ、でかい図体の男に倒れられたら他の人が迷惑だわ。明日からJOの予選会に向けて忙しいし、家に帰って寝なさいとタクシーに押し込んだから」
それを聞いてホッとすると、亜紀さんに頭をはたかれた。
なっ、デコピンの次は頭ですかぁ!?
涙目で睨むと、ハリセンが欲しいくらいよ、とすごまれた。