私の片想い事情 【完】
隼人は何か言いたそうにしていたけど、それに気付かないふりをして私は続けた。
「もう、自分の気持ちを押し付けたりもしない。それと―――」
私は隼人からすっと一歩離れる。
一呼吸おいて、自分が出した結論を、自分自身に言い聞かせるように吐き出した。
「私、隼人のお世話係りも卒業します。隼人のことはまだ好きだし、諦められないけど、もう傍にいることはできないよね。ちゃんと分かっているから」
「みなみ、待て……」
隼人はひどく焦ったように、私の腕をつかんでくる。
プールの中から上がったばかりだと言うのに、その熱さに、一昨日の夜のことがフラッシュバックする。
「……っ……」
「あっ、悪い」
隼人は、すぐに手を離してくれたけど、掴まれた箇所が熱く疼く。
ああ、こんなにも好きなんだ、と実感してしまう。
でも、私はそんな想いを振り切るように、クラスの準備があるからと言って、その場を走り去った。
だって、今はまだ決定的なことを言われて平然としている勇気はないから。
いつか、「後悔してる?」なんて笑って冗談が言えるようになるといいな、そう願いながら、プールのドアを閉めた。