私の片想い事情 【完】
亜紀さんのお説教から逃れた私は、へとへとになりながらも、何とか忙しい一日を乗り切ることができた。
日に日に忙しくなっていく上に、今日は、亜紀さんのお説教のせいでお昼を取り損ねた。
そんな状態で、私がクラスに集中できたのは、隼人が休みだったから。
隼人は、今日、指導者講習会に行っている。飛び込みと競泳の両方を教えている隼人は、出席しなければいけない講習会が私の倍ある。
朝は、今日一日会えないことが寂しかった。
いつも顔を合わせているでしょう、と突っ込まれそうだけど、昨日の今日だからこそ会いたかった。
隼人がどんな態度とるのかな、とか、もしかして意外に照れたりして、なんてお馬鹿な妄想が膨らみ、おめでたくも一人ドキドキしていた。
でも、亜紀さんにざっくりその妄想も切り捨てられ、今は、隼人と顔を会わせることがちょっと怖い。
どんなことがあっても隼人が好き!と宣言しながらも、それは、隼人が少しでも私に気持ちがあるのかも、なんて淡い期待があったからこそ言えたことと気付いてしまったから。
精神的にも体力的にもちょっと限界気味の私は、バスの停留所で、ぐったりとベンチにへばりつく。
ああ、熱風が、冷えた身体に心地良い。
疲れに目を閉じれば、亜紀さんに言われたことが頭から離れず、私の決心を揺さぶるように、心に黒いモヤモヤとした膜を覆った。