私の片想い事情 【完】

すっかり忘れていたけど、亜紀さんから、携帯とアパートの鍵と財布だけ受け取り、残りの荷物は西崎家に置いたままだった。


「明日、荷物持ってきてやってももいいけど。ないと困る物もあるだろ?」


俺様な物言いだけど、隼人にしては珍しく気の利いたことを言う。


別に急に必要なものなんてないけど、と言いかけ、私は、その時ピンと閃いた。


「あ、あのさ、ちょっと手帳がいるから今から取りに行ってもいい?」

「はぁ?今からか?」

「うん、もらったらすぐに帰るから」


手帳なんて本当は口実。今夜一目でもいいから隼人に会いたかった。


おやすみ、と言ってもらえるだけでもいいから、そんな思いで隼人の反応を待っていると、思いもよらない返事が返ってきた。


「なら、俺が届ける」

「え?」

「車で行くから。みなみ30分ほどでアパートに着く?」

「えっと……うん。でも、隼人悪いよ。私が寄るから」

「コンビニ行きたかったし、別にいい。家に寄った後だと、みなみの帰りが遅くなるだろ?」

「でも……」




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