私の片想い事情 【完】
「顔もひどいけど、髪もばさばさね。ちゃんとトリートメントしているの?」
肩まで伸びた髪をひと房掴まれ、枝毛をチェックされる。
「ここ10年、プールの塩素で傷んでますから、今更です。いつもポニーテールしているし」
「ポニーテールばかりしているとハゲるわよ?」
「いいんです!どーせ私は女として終わってますから!」
卑屈気味に言うと、久しぶりに亜紀さんの空手チョップが披露された。
「いったーい!亜紀さん!前から言おうと思っていたんですけど、むち打ちにする気ですかーーーっ!」
「キレイになろうと努力せずに卑屈になる女は、もっと醜いわよ。性格ブス!」
反論する私を叩き潰すような亜紀さんの言葉がグサッと心に刺さる。
「だって、元が悪いんですから、性がないんです……」
胸に手を置き、傷ついた素振りを見せる私は、かなり強くなったようだ。
亜紀さんに何を言われても、もう免疫ができた。
刺さった釘を抜くのも得意になった、としみじみ思う。
「バカね、みなみは、十分可愛いわよ。周囲に私や隼人がいるからつい比べて卑屈になってしまうかもしれないけど、世間一般男子の評価は可愛い部類に入ると思うわ」
これは一体褒められているのだろうか、と首を捻ると、顔を上げなさい、と顎を掴まれた。
亜紀さんは、かばんの中から一本のグロスを取り出すと、それを私の唇にさっと塗る。
「顔色悪いし、これで少しはマシに見えるわね」
いつもリップクリームしかつけない唇に、たっぷりとグロスを塗られた。
べたっとして何だか気持ち悪い。