私の片想い事情 【完】

もやもやしていると、事務的な声で、浅井さん、と呼ばれ、視線を先生に戻させられた。


この人、言葉にも威圧感があるなー。


「軽い夏バテを起こしていますね」

「夏バテ?」

「そう、最近余り食べてなかったみたいだけど、ダイエットですか?」


眼鏡を上げて聞いてくるその仕草に、何だか怒られているように感じ、慌てて答えた。


「い、いえ。身体が疲れすぎて、暑さもあって、食欲がなかったんです」

「あっさりしたものでもいいから、きちんと三度の食事は採らないとダメですよ。睡眠不足だったみたいですし。丸一日熟睡していましたよ」

「はい……すみませんでした」


寝ているから頭を下げれないけど、気持ち的には、この先生の前で一生懸命平服していた。


何せ、半端ない威圧感がある。


「CT撮りましたが、異常はないです。大きなたんこぶもできていますから、しばらくは、負傷箇所を触らないようにしてください」


事務的に説明するこの先生に、はい、はい、と頷くだけの私。




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