私の片想い事情 【完】
頭が痛かったのは、打ったからだったんだ。
多分、プールサイドのコンクリの部分のどこかだろうな。
生徒に気をつけなさいと言いながら、自分が頭をぶつける第一号になるとは情けない。
「ビタミン剤入りのブドウ糖の点滴をもう一本します。明日の朝、吐き気がなければ、そのまま退院できるでしょう」
とてつもなく恐ろしいことを言い、キレイな顔の怖い先生は去っていった。
点滴、もう一本あるのーーーー?
頭を打ったということより、私は点滴をもう一本受けなければいけないことの方がショックだった。
「みなみ、気分はどう?」
「最悪……」
「吐き気とかあるのか!?」
焦ったように聞いてくる隼人に、私は、慌てて言い直す。
「あっ、ちがうの。最悪なのは、点滴のこと。ほら、私注射大嫌いじゃない?」
「なんだ、そんなことかよ」
安堵するように私の髪をすく隼人に、どこか違和感を覚える。
チラッと点滴された右手を見れば、そこに手を添えるように隼人の大きな手がかぶさっていて、傍から見れば、私たちはまるで恋人同士のようだろう。