私の片想い事情 【完】
「意味が分からない……耳かきして欲しいって言っていたのに」
閉じられた襖の戸を見つめながら、ポツリ呟くと、隼人の生温かい溜息が首筋にかかる。
「……っ……」
身体がピクンと反応し、急に今置かれている状況が恥ずかしくなった。
隼人に背後からぎゅっと抱きすくめられ、その後ろには、ふっかふかのお布団が敷かれている。
私の中で、一気にピンク色の妄想が暴走し出す。
色々なことを聞きたかったけど、首筋にかかる吐息や、力を込められた腕に、頭が沸騰しそうになる。
もしかして?と次のステップの期待をしてしまう自分と、ダメよ、今日退院したばかりなのに、と理性を総動員させる自分とが、脳内でせめぎ合っている。
このチャンスを逃すと後はあるの?とか、病院で朝シャワーを浴びただけだ、どーしーよー、とか、下着はかわいくないスポーツブラだ、とか、私は一人イケイケ状態で。
暫く、妄想トリップをしていると、隼人の不機嫌な声で現実に戻された。
「胸クソ悪い……彰人の匂いがする」
「―――へ?」
意味が分からずきょとんとしていると、私をピンク色の妄想から解放した隼人は、思いっきり顔をしかめて、疲れたから寝る、と言って部屋を出ていってしまった。