私の片想い事情 【完】
「私、隼人に好きだって言われてない……」
よーく記憶を巻き戻して、昨夜のことを思い出す。
抱きしめられ、所有物だ、俺の女だ、と言われたけど、結局喧嘩腰になって告白らしい告白は受けていない。
あの後、私が泣いてしまって、なし崩しにあんなキスをされて……
昨夜のキスを思い出し、急に身体の芯が疼く。
「い、いや、そーじゃなくて……」
キスで誤魔化されたけど、私隼人からちゃんとした言葉をもらってないないっ!!
そのことに気付き、私の怒りがフツフツと沸点に近づく。
「信じられない……」
私は、今ままで、何度隼人に好きだと言ってきたことだろうか?
ついこの間も、きちんと言葉にした。
それなのに、あの男は―――
私は、ざぶんと大きな音を立てて、バスタブから上がる。
クラッと立ちくらみがして、また長時間湯船に浸かっていたのだと、悟る。
ああ、あのお医者さんに、長風呂はダメですよ、と言われていたのに。
ここで逆上せて倒れては洒落になんない。
これも隼人のせいだ、と怒りの矛先全てを隼人に向け、私は頭と身体を素早く洗い、お風呂から上がった。