私の片想い事情 【完】
「ひゃ……ああん……や、やだ……」
「感じている証拠だろ?」
襞(ひだ)の周りを優しく触れられ、恥ずかしい恰好をさせられていると言うのに、腰を揺らしてしまう。
「ふぁ……だって、だって……」
「だって、何?」
声は冷静なのに、隼人の指が徐々に激しさを持つ。
「前に……いやらしいって……淫乱って言ったじゃ、ない……?」
あの夜の隼人の感情のない冷たい瞳を思い出し、ぶわっと目に涙が浮かぶ。それは生理的なものではなく―――
「どーしていいのか、分からないの。隼人に触れられていると身体が勝手に反応するの……」
嫌わないで……
呆れないで……
聞こえたかどうかわからないほどの小さな私の心の声は、隼人の優しいキスで応えられた。
さっきまでの意地悪な態度とは全然ちがう。
額に、瞼に、頬に、慈しむようにキスを繰り返され、言葉なんてなくても、隼人の想いが伝わってきた。
「みなみが好きだよ」
腰に響くように優しく発せられたその声に、涙腺が一気に緩む。
その言葉だけで十分だった。
隼人の心境の変化が分からなかった。
今まで何度も振られた。
私の性別が女だってことすら、忘れているんじゃないかと思っていた。
どーして、って聞きたかったけど、でも、そんなこともうどーでもいい。
私は隼人に思いっきり抱きつき、泣きじゃくりながら、隼人大好きと連呼していた。