私の片想い事情 【完】
「ん……」
「みなみがかわいくて、我慢ができなかったんだ」
甘い言葉を相変わらず耳元で囁き続ける隼人は、私の扱い方をよく分かっている。
耳たぶを甘噛みされ、私の身体から力が抜ける。
しかし、私は渾身の力を振り絞って、隼人の身体を引き離した。
それはもう、ベリっと音がするかと思うくらい。
「みなみ、何だよ!?」
「何だよ、じゃないわよ!誤魔化さないでよっ!」
「悪かったって謝っただろ?それに、みなみも気持ち良さそうによがっていただろ?」
「……っ……」
悪かったと言いながら、悪びれもなくそんなことをさらっと言ってくる隼人に、ため込んでいた怒りがふつふつと沸騰しだす。
「は、隼人は勝手なのよっ!全然私に興味のない振りをしておいて、こんなっ……」
「こんなって?」
「あの未遂で終わったとき、私がどんなに傷ついたか……先週、アパートに泊まったときだって、何もしてこなかったくせに。一人で起きたとき、すごく虚しかった……そ、それなのに、やっと初エッチできたかと思ったら、こんなのひどいっ!」
私の中の不満は一気に爆発する。
もう、真っ裸だとか、明るい蛍光灯が恥ずかしいとか、どうでも良かった。
涙がこみ上げてきそうになったとき、隼人の大きな手が私の頭にそっと添えられた。