私の片想い事情 【完】
蛍光灯とは異なった燦々と照りつく朝日が差し込まれ、そのまぶしさに瞬きを数回する。
何が起こったのかわからない私と隼人。
私に覆いかぶさるように体重をかけていた隼人の全身が、ピキーンと硬直する。
「あら?あらららら?ごめんなさい。お取込み中だったのね」
その声に、恐る恐る視線だけ移せば、そこには満面の笑みを浮かべて、嬉しそうにコロコロ笑う静香さんが立っていた。
静香さんの足元には、使用済みのティッシュの山と、コンドームの箱が散乱している。
こういうとき、人間って案外に冷静になれるものだ。
朝日に照らされ、キラキラと光る使用済みのコンドームの袋が3つ。
一晩でそんなに使ったの?と間抜けなことを考えていた私は、頭がどうにかなっていたに違いない。
「静香さん、勘弁してよ。邪魔しないで」
隼人がぎゅと私を抱き締めながら、静香さんに愚痴をこぼす。
そ、そこ?
ちがうでしょ?義理とはいえ、母親にこんなシーン見られて、気にするところがそこ?
「隼人、申し訳ないけど、もう8時よ?みなみちゃんを解放してあげて」
こちらも、息子のあられもない姿を見ても、ニコニコ笑いながら動じない。
「みなみちゃん、朝ご飯よ。もう彰人もパパも出て行ったわ。シャワー浴びたらリビングに来てね」
と普通に微笑まれ、私は真っ赤な顔で、ハイと頷くことしかできなかった。
静香さんは、満足そうに微笑むと、襖を閉めてパタパタと去っていった。
「今日はお祝いしなきゃ~」と鼻歌を歌いだしそうだったのは、あえて聞かなかったことにしよう。
茫然としていると、隼人が大きく溜息をついて、私に全体重をかけてきた。
「お、重い、隼人!重いよ!」
「信じらんねー。あそこで邪魔する?」
隼人は、何かを必死で耐えるように、私を掻き抱く。
「は、隼人?とりあえず起きない?」
恐る恐る隼人を覗きこめば、懇願するような瞳で見つめられた。
心臓がドキン、と大きく鳴る。
こんな子犬みたいな瞳で見つめられると胸がキューンとなって、つい頭を撫でたくなる。