私の片想い事情 【完】
マネージャーは、今日は地区大会の会議に出席していて不在だったので、西本さんに、菓子折りをもう一つ言づけ、私はプールを後にした。
隼人がプールにいたのは分かっていたけど、何となく職場で顔を合わせるのがこぞばゆくて、そのまま出てきてしまった。
バス停のベンチに腰掛け、ミネラルウォーターをかばんから取り出す。
飲めば飲むほど汗が噴き出してくるような気がするけど、容赦なく照りつける太陽に、私は一気にボトルを飲み干した。
「ぷっはーーーっ」
からからの喉が潤い、私はついくせで親父みたいにあられもない声を出してしまう。
「みなみさん、親父ギャルだよ、それ」
「た、瀧川君!」
は、恥ずかしい。今の聞かれていた、と顔を隠す私に、瀧川君は今更だよ、と笑った。
「どうしたんですか?今日はもう帰るんですか?」
「うん、シフトの確認と労災の書類を提出してきただけだから」
「そっか、残念だなー。みなみさんと一緒にいられると思ったのに」
瀧川君のくったくのない笑顔に、私の心がチクリと痛んだ。