私の片想い事情 【完】
亜紀さんと10分対面しただけで、どっと疲れが出てしまった。
ニ、ニンニク注射が欲しい。
このまま帰りたい、と今日出勤した目的も忘れて私はデスクに突っ伏す。
そんな私に、西本さんは、冷たい麦茶を出してくれた。
ああ、西本さん。あなたの存在に私がどれだけ救われているか……
ふらふらになりながら、西本さんに言われるがままに、労災関係の書類を記入した。
自分の不注意で発生した事故に、労災が適用されるなんて何だか申し訳なくて、書類に印を押すのを躊躇われたけど、あなた自身が気を引き締めるためにも大事なことよ、と西本さんに諭されて、しっかりしないと、と自分を叱咤した。
高橋君のことを尋ねると、元気に毎日プールに来ているらしく、私はホッとした。
実は、高橋君のお父さんから携帯に電話がかかってきて、挨拶に伺いたいと言われたけど、西崎家に来てもらうわけにもいかず、丁重にお断りしていた。
高橋君とは電話で何度か話をして、最初はごめんなさいと泣いていた彼も今では元気に笑っているようだ。
シフト表を確認して、気を引き締める。
予定がぎっしり詰まっている。
子どもたち一人一人の顔を思い浮かべ、私は自分に気合を入れるように、捺印した労災の書類をマネージャーのデスクに提出した。