私の片想い事情 【完】
俺が何度ひどい態度を取ろうと、わざとみなみを傷つけるような言葉を発しようと、みなみは、ずっと俺の傍にいた。
それが、まるで当たり前のように。
俺が行きつけの飲み屋で泥酔すると、そこの店長はみなみに電話をかける。
二股をかけていた女同士がすさまじい喧嘩を繰り広げると、その仲裁に入っていた。
そして、義母の静香さんまでもが、みなみを頼るようになった。
あいつは、「性がないなぁ」と言って笑う。
どうしてそんな風に笑えるんだ?
頼られれば嫌と言えない。
困っている人がいればすぐに手を差し出す。
そんなお人よしなお前を、俺は傷つけることしかしていないのに。
いつ、愛想を尽かすか待っているのに。
それなのに、手元に置きたいと思う自分もいる。
そして、その笑顔を自分だけに向けていて欲しいと願う矛盾。
みなみ、お前は、そんな俺の狡い部分を知っているのか?