私の片想い事情 【完】

名前負けしているのはわかっている。


平凡普通女子の私の特技と言えば、18年間続けている水泳ぐらいで。


でも、その特技すらも、職業にしてしまったら、特技と言えるのかな?と首をかしげてしまう。


それ以外で自分に誇れることがあるとすると―――


それは、6年間同じ男を想い続けていることくらい。


あぁ、何だかすごく情けなくなる、と想い続けている男の寝顔をじっと見つめた。


人の気も知らず気持ち良さそうに寝息を立てている彼の髪にそっと触れる。


少しウェーブのかかった色素の薄い髪は意外に硬く、指通りが悪い。


起こさないといけないのに、起きたらどうしよう?とドキドキしてしまうのは、万年片想いの体質が身にしみついているから。


今度いいトリートメントを買ってきてあげなきゃ、なんて彼女気取りで髪を梳いていると、今度は携帯のアラームが鳴り、はっと現実に引き戻された。



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