私の片想い事情 【完】

濡れた髪をかき上げる、そんなありきたりな仕草で色気を振りまけるのは顔のいい男だけだ。


ちなみに、私は隼人がそうしていて、百万回はキュン死にした。


今、このムカつく年下にも、キュン死ににはほど遠いけど、不覚にもドキンとした。


「みなみさん?そんなに熱い視線を向けないでよ」

「向けてないわよっ!年下の癖に生意気!!」


何か、この雰囲気もうヤダ……


「で、練習メニューが何?」


私は意地悪く覗き込む瀧川君の顔を思いっきり手でグイッっとよけた。


そう、男に免疫がないので、こんなあからさまな態度しか取れない。


「痛いって……クスクス……そうそう、この子……」


笑っていた瀧川君だけど、また真面目な顔になって続けた。



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