理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
お姫様だっこのままホテルの部屋へ戻ると、私をベッドへと優しく下ろし…

額に軽くキスを落として、浴室へと向かうイッセイ。


「ちょっと時間かかるかも」

楽しそうにお湯を張っているイッセイの声が、浴室から響くと…

迫り来る緊張感に、私の心臓はもう爆発寸前。


『…今ならこの部屋から逃げられるかも』

なんて考えが頭を過ぎり、そぉーっとベッドから降りてドアノブに手をかけると…

「どこ行くんかな?」

私の手にイッセイの手が重ねられ、心臓が大きく跳ねる。


「ええっと…あの…」

頭をフル回転させて、言い訳の言葉を探していると…

「まさか、BARからやり直したかったとか?」

イッセイの言葉に、思わず…

「えっ!?あっ!!
うん、そう!そうなの!!」

乗っかるように頷けば…

「ふぅ~ん。律儀やなぁ。
全部やり直そやなんて」

感心したように私を見つめ…

「ほな…
アヤのマネして、律儀に、昨日みたいな脱がし合いっこしよか?」

などと、とんでもないコトを言い出す。


「そんなコトしてません!!」

ブルブル首を横に振って、ムキになる私の言葉なんか、なんとも思っていない様子で…

「また忘れてしもたんか?
しょうのない子やなぁ。

ほな、今日は特別に脱がしてあげよ」

と、まるで小さな子供をあやすような口調で、私のワンピースの背中にある、ファスナーへと手を伸ばす。


「やだ!やめてよ!」

躰を捩って抵抗すれば…

「『やだ』や無うて『いい』…
『やめて』や無うて『もっと』て、教えたはずなんやけど…」

困ったように肩を竦めるから…

「今は、そんな話は…」

湧き上がる恥ずかしさに、抵抗する力が弱まったその瞬間…

「もう黙っとき」

あっさりと、イッセイに抱きすくめられる。


私の顎先を捉えて、上を向かせると…

近づいてきた瞳は、驚くほど澄んでいて…

『やっぱり抵抗することなんか叶わない』

って思わせるような、特別な色気を感じてしまう。


その瞳で見つめられただけで…

堪らなくイッセイを『欲しい』って、思わせる…

私の理想の瞳を持つオトコ。
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