理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「俺が欲しいんか?

それとも…
アイツの代わりが欲しいんか?」

誤魔化して、うやむやにしながら現実から目をそらそうとする私の、両肩を掴んで距離をとったイッセイが…
それを許すまいと、真剣で、セツナげな瞳で見つめてくる。


「イッセイが欲しいの」

ぐちゃぐちゃの頭の中から、真っ白な何も考えられない世界へ連れ出して欲しくて、必死の願いを口にする。


「本真に?」

「本当に」

真っ直ぐにイッセイの瞳を見つめて言うと、ニッコリと優しい笑顔を見せ…

「俺も、アヤが欲しゅうてたまらん」

そう言って、優しく唇を重ねてくる。



…不思議。


さっきの唇を押し付けた私からのキスじゃ、イッセイの体温しか感じられなかったのに…

イッセイからのキスには、体温よりずっと高い、熱が籠もっているよう。


嫌な記憶すら溶かしてしまう、その熱に…
私の瞳も、躰も潤み出す。


重なり合った唇から漏れる…

熱くて甘い、吐息と水音。


アルコールのせいだけじゃない、この躰の火照りを…

早く鎮めて欲しい。


「ねぇ…シャワー…は?」

キスと吐息の合間に問いかけ、また舌を絡め合う。


「それは、
『お風呂でしたい』
ゆう、リクエストなん?」

ニヤリと笑うイッセイの、シャツのボタンに手をかけ…
一つずつ外しながら…

「違うわ。
『お風呂でしてあげる』っていう誘惑」

主導権を握ってみたくて、そう言うと…
イッセイがキスしたまま、私の躰を抱っこするように持ち上げ…
私もイッセイの腰に脚を絡めて抱きつく。


そのまま運ばれたのは、バスルームで…
突然、頭上からシャワーが降り注ぐ。


「誘惑するんやったら、これくらいのサービスしてくれな」

イッセイの指先は…

シャワーで濡れた躰から、透けて見える下着を指さしていて…

羞恥心をなぶられる。


水を吸った衣服は、躰に張り付いて…

思うように、脱ぐことも…

脱がせらることも、ままならずに、もどかしさに戸惑う。


「俺が欲しいなら、早う脱がせて。
…それとも、着たままシたいなら構へんで?」

甘く低く響く、声…

シャワーのお湯が滴る、髪…

水滴が流れるシャツが、はだけた胸元。


そのセクシーさに、クラクラして…

「もぅ…早く欲しいの、早く…」

主導権なんか、ちっとも握れないまま…

そんな淫らなおねだりをしていた。
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