理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~

ありふれた日常

「…嘘っ…
当たっちゃった…」


パチパチと何度か瞬きを繰り返し…

もう一度、『当選金』と表示されている小さな電光掲示板を見つめる。


¥2,000,000-


何度確認しても、間違いなくそう表示されている。


思わずキョロキョロと周りを見渡し、誰も知り合いが居ないかどうか確認してしまう。


あからさまな挙動不審ぶりに、売場のおばちゃんはクスクス笑いながら、小声で

「おめでとう」

と言って、換金先の銀行と手続きの仕方を教えてくれた。


興奮で半分くらいしか頭に入ってこない話に、『うん、うん』と頷きつつも…

誰にも見つからないうちに、一刻も早く立ち去ろうと、足早にその場を後にする。


そして、勢いそのままに、その足で銀行へと向かった。


『何か自分に御褒美と…

それから…

残りは、結婚資金にしよう!!』

新しい未来が拓けたような気がした、瞬間だった。
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