理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
タクシーに運ばれて着いた先には、大きなガラス扉が何枚も張り巡らされた、立派な建物。
そのガラス扉の前には、長い、長い、行列がいくつも連なっている。
仲良さげな老夫婦、御年配のご婦人方、若い女性に、カップルと…
性別も年齢も様々。
「意外と人気あるんだぁ~」
なんて言葉が思わず口をついてしまうほど、これまで敬遠していた、伝統芸能の人気っぷりに驚きつつ…
人の流れに乗って、入り口のエントランスをくぐる。
紋付き袴姿の男性や、着物姿の女性が、チケットもぎりや、物品販売を行っているのが目に入り…
私もチケットを切ってもらうと、パンフレットを受け取りロビーへと列を抜け出る。
自販機で冷たいお茶を買って、周りを見渡せば…
若い女性に囲まれてサインや写真を頼まれているのは、年齢層はバラバラだけれど、全員に同じ紋の入った袴姿の男性が、あちこちに居るコトに気づく。
『そっかぁ。
あの人達が役者さんなんだ…』
『確かに、独特のオーラがあるかも~』
『うん、うん』と、ひとりで感心しながら…
買ったばかりのトートバッグに、パンフレットとお茶をしまうと、2階へと上がる長いエスカレーターへ乗る。
何気なく並列している階段の、踊場を見上げればまたも出来ている、人だかり。
その中心に見える、ひときわ背の高い、紋付き袴姿の男性の姿を…
たくさんの若い女性客がとり囲んでいるのが見える。
『あの人も役者さんなの…かな』
そう思って顔を見上げた瞬間…
真っ直ぐに私を見つめる彼と目があって…
視線を外せない…
目を逸らせない…
頭が真っ白になって、エスカレーターはどんどん上っていくのに…
バカみたいに彼のコトばかり見つめたまま、1mmも動けない。
そのガラス扉の前には、長い、長い、行列がいくつも連なっている。
仲良さげな老夫婦、御年配のご婦人方、若い女性に、カップルと…
性別も年齢も様々。
「意外と人気あるんだぁ~」
なんて言葉が思わず口をついてしまうほど、これまで敬遠していた、伝統芸能の人気っぷりに驚きつつ…
人の流れに乗って、入り口のエントランスをくぐる。
紋付き袴姿の男性や、着物姿の女性が、チケットもぎりや、物品販売を行っているのが目に入り…
私もチケットを切ってもらうと、パンフレットを受け取りロビーへと列を抜け出る。
自販機で冷たいお茶を買って、周りを見渡せば…
若い女性に囲まれてサインや写真を頼まれているのは、年齢層はバラバラだけれど、全員に同じ紋の入った袴姿の男性が、あちこちに居るコトに気づく。
『そっかぁ。
あの人達が役者さんなんだ…』
『確かに、独特のオーラがあるかも~』
『うん、うん』と、ひとりで感心しながら…
買ったばかりのトートバッグに、パンフレットとお茶をしまうと、2階へと上がる長いエスカレーターへ乗る。
何気なく並列している階段の、踊場を見上げればまたも出来ている、人だかり。
その中心に見える、ひときわ背の高い、紋付き袴姿の男性の姿を…
たくさんの若い女性客がとり囲んでいるのが見える。
『あの人も役者さんなの…かな』
そう思って顔を見上げた瞬間…
真っ直ぐに私を見つめる彼と目があって…
視線を外せない…
目を逸らせない…
頭が真っ白になって、エスカレーターはどんどん上っていくのに…
バカみたいに彼のコトばかり見つめたまま、1mmも動けない。