中指斬残、捌断ち儀


「ケータイ、もっているの?」


「今の時代、持っていない方がおかしいだろう。あると便利だぞ」


ほら、と赤い携帯電話を見せてくれた五十鈴さんには、なんだか裏切られた気分になった。


人間社会に溶け込まないくせして、文明の利器は利用するらしい。確かに便利ですけどね。


またもやツッコミたい思いにかられたが、五十鈴が念押すように言葉を続けた。


「いいか、渉。あくまでも、私への連絡は、伯母さんに連絡がつかなかった時――いいや、誰も頼る人がいない時にかけるんだぞ。

『どうしようもなくなった時』に私を頼れ、分かったな」


私情では決して連絡してはいけないという旨だ。五十鈴さんへの連絡はあくまでも最終手段である、と言いつつも、教えてくれた時点で、『いつでも連絡しろ』というのに変わりない。


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