中指斬残、捌断ち儀
そのあと、いつの間にか眠ってしまった僕が起きたのは伯母さんが帰ってきてからだった。
古い家屋のため、廊下を歩くだけでもみしみしうるさい音が目覚まし代わりとなる。
五十鈴さんは行ったんだ、と思って、タオルやら枕元のコップやらを見て、伯母さんに五十鈴さんがこれらを用意したことが知られるかと危惧したが――伯母さんが隔離部屋に進んで来るわけもなかった。
風邪を引きました、と言うべきかとも思ったが、起きたときの思考はクリアで、明日になればきっと治ると自己診断したので、僕は伯母さんに話さなかった。
やっぱり、話せなかったんだ。
ノートに小さく書かれた11桁の番号を見ようとしたけど、今は夜で月明かりもない暗がり。
電気をつけようかと思ったけど、やめた。