中指斬残、捌断ち儀
(五)
言っておきますが、五十鈴さんは悪くありません。
「すまない、渉。何もできなくて……」
だから、五十鈴さんは悪くないんです。
「五十鈴さんは、僕の想いがあったからこそ、言えなかったんですから」
責められない。
伯母さんのやることを五十鈴さんが注意なり制止なりしなかったのは、“僕が望んでなかったから”だ。
そもそも虐待が悪と認識していない、“浄め儀”さえも当たり前と認識していた僕はただの一度も『誰かに止めてほしい』だなんて思ってなかった。
察した五十鈴さんは何とかしたかっただろうが、言った後のこと――伯母さんに制止した後にあることを考えれば口が出せなかった。
人間社会で生きていけない自分が、渉(人間)を連れていけるわけもない。注意という刺激を伯母さんに与えてしまったら、その跳ねっ返りは全部渉に行くとも分かっていたんだろう。