中指斬残、捌断ち儀


ならば、ここは他の誰か――有り体になれば、児童相談所なりでも、五十鈴さんは忘れてなかった。

僕がここにいたい、と言ったことを。


出会った当初、小学生の言葉でも五十鈴さんは覚えていた。児童相談所というものがあって、と辛いならそこが救ってくれると助言してくれた五十鈴さんに僕が首を横に振ったことを頭に残していたからこそ、何もできなかったんだ。


何かしたくても、できなかった。


渉の望みをないがしろにしてまで、この家から引き離すべきなのか。けれども渉にされている行為は……などと、ひどく悩み続けていただろう。


五十鈴さんは何もできないからって、逃げたりなんかしていない。


何もできないなりに、してくれた。


僕に会いに来てくれたじゃないか。


「五十鈴さんは、悪くないです」


繰り返す。


「悪くないですから、また――」


いつものように会いに来てくださいね、と言った。


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