中指斬残、捌断ち儀
そんなのは駄目だ。
五十鈴さんがやってきたことを無駄骨にしたくないからこそ、僕は本音を隠したんだ。
それが良かれと思って。あなたのためになるなら、自身を犠牲にしてもいいけど。
「もう……、ぼく……」
温かさが辛い。
死後の世界には天国があるから、死んでも怖くない、痛くない。に似た詭弁を並べた付け焼き刃で騙し続けるのが、それこそ五十鈴さんに対して酷い仕打ちなんじゃないかと思えた。
「ごめんなさい……」
何を望むかわからなかった頭が、パチリと音をたてて噛み合う。
幸せと不幸せ。
いい夢を見たならば、悪夢に堕ちろ。そもそも僕は、彼女のために何かできるわけもない。