Line ~何時ものセリフで~
「…うん、いいよ
それでも…いい」

震える声で言った

目頭が熱くなり、気付けばどうしようも
なく涙が溢れ出していた

目を見開き、驚いていた雅人の顔は
見る間に切ない表情へと変わり、
何があったのか理解したようだった

「結…」

雅人から掠れた声が出たと同時に
私は、彼の力強い腕に抱き締められて
いた。


触れてしまった私達は、まるでお互いの中でピンと張っていた境界線という名の糸が弾け飛んだかのように唇を求めあった

角度を変え何度も、そしてそれは深く
舌を絡ませ、息も出来ないくらい
激しく…

荒くなる呼吸、時折漏れる声、
お互いを呼びあいながら
リビングのソファーへとたどり着いた

雅人の唇は次第に下へとおりていき、
既にあらわになっていた肌に印を
落としていく
激しく、でも慈しむような愛撫に
翻弄されながらも、どうしても頭の
片隅から消えてくれなかった

この家の何処かにいるであろう
『妻』の存在を…
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