-Vermillion-

「やっと、終わった…」

学校からの帰り道、

疲れを隠せない私に

加奈が何だか楽しそうに聞いてきた。


「そう言えば朱乃って、
 谷村の事どう思ってるの?」

「幼馴染で、いつも助けてくれる人…
 どうして…?」

「思えば恋愛の話とか聞かないから。
 何かないの?」

「加奈は中二の時、
 サッカー部の先輩と、
 付き合ってた…」

「そう、そういう感じの。
 誰々と付き合いたいとか。」

「真朱、かな…」


加奈は吹き出すと、

腹を抱えて笑い出した。

笑いが止まらない様子を見て、

私は首を傾げる。


「あはは!そういう冗談、
 他の人に言わない方がいいよ?
 あたしにはいいけどね。」

「冗談、か…」


家で二人ゲームの対戦をしながら、
加奈が心配そうに聞いて来た。

「もう学校行けるでしょ?」

「うん、大丈夫…」

「良かった。
 何かあったら話してよ?」

「うん、ありがと…」

「ちゃんとあたしに言うんだよ?」
 

少し上の空で答える私に、

加奈はグッと顔を寄せて念を押した。


チャンス。十秒連打。


「あ!ちょっと待って!それ狡い!」

 ピロピロ♪

「勝った…」

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