state of LOVE
『hi,honey』
「hi」
『朝から何事?』
「うちの奥様が、今夜お前をdinnerに招待したいって」
『んー…』
「素直に招待されとけ。昨日のこと謝りてーから愛里もって」
『O.K.起きたら言っとく』
「よろしく」

手短に話を済ませ携帯を置くと、ゴロンと仰向けになった俺の腹の上に、脇腹にかかっていた圧力の主が慌てて移動をかけた。そして、バシバシと抗議を始める。

「とーちゃ!」
「はいはい。おまたせ、美緒」
「美緒、ご飯にしましょうか?」
「ごあんー!」

こいつにも食いしん坊遺伝子が組み込まれているのか。と、はしゃぐ美緒を抱いて体を起こし、そこで漸く向かい側で眠っているはずの人物がいないことに気付いた。

「ハルさんとちーちゃんは?」
「出かけてます」
「こんな早くから?」
「おにーさまが、この時間しか予定が空かないみたいで」
「大介さんとこ行ったの?何しに?」
「入籍の許可をもらいに」

そう言えば…と、まだ殴られる覚悟が出来ていない俺は、うっと言葉を詰まらせて腕の中の美緒と額を合わせた。

「もう一回ちゃんと挨拶しなきゃな」
「おにーさまは、あの二人に任せていれば大丈夫です。でも…」
「ん?」
「メーシーとマリちゃんは平気なんですか?反対したりは…」
「するわけねーじゃん」

ふっと笑うと、ぶぅっと頬を膨らせた聖奈は美緒を奪い取って俺を見下ろした。

「マナにはレベッカがお似合いだって、前にマリちゃんが言ってました」
「あー…あの人、ホント無神経な人だね。悪気はないんだけどな」
「セナもそう思うんです。レベッカみたいに美人でスタイルも良い人の方が、マナにはお似合いなんだろうなって」
「おいおい」

でも…と続け、聖奈は頼りなく笑って俺の頬を撫ぜた。
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