state of LOVE
洗顔を終えてリビングへ戻ると、日常の光景は綺麗さっぱりと取り払われ、未来予想図だろう光景が広がっていた。

「美緒ちゃん!走っちゃダメです!転びますよ」
「きゃー!」
「もうっ…」
「そない怒ったかて言うこと聞かんわ。おいで、美緒」
「だー」
「よぉし。ええ子やな」

敢え無くロリコンの餌食となった美緒は、嬉しそうに頬を擦り寄せていて。この人まさか…と失礼なことを思いながらベンチに腰掛けると、俺の姿を見つけた美緒がジタバタともがき始めた。

「ん?おぉ。パパがええか」
「はるっ!マナは美緒ちゃんのパパじゃないです!」
「んー?じーちゃんは耳が遠くて聞こえませんよー。なぁ?美緒」
「だー」

すっかり「初孫が出来て喜ぶおじいちゃん気分」を堪能しているハルさんは、ちょんと美緒を床の上に下ろす。まるでテケテケとでも効果音が付きそうなくらいに嬉しそうに走る美緒は、俺の足元でピタリと足を止めて両手を伸ばした。

「だっこですかー?姫君」
「だー」

仰せの通りに。と美緒を抱き上げ、ふとソファに寝転んでいる人数が減っていることに気付いた。

「美緒、じーちゃんどこ行った?」
「じー」
「そ、じーちゃ…ってぇ」
「誰がじーちゃんだよ」

洗濯物片手に俺の頭を殴るじーちゃん…基メーシーは、美緒の頭を一撫でして洗面所へと消えて行った。後ろ姿がぷんぷん!と言っていることは、この際見なかったことにしよう。
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