state of LOVE
「何だー。もっと早くに言ってくれればいいのに。可愛い息子だなー、もうっ!」
「あんま茶化したら捻くれるぞ」
「あー可愛い!麻理子に報告しなきゃ」
「親バカか」

呆れられても、メーシーがその浮かれっぷりを崩すことはなくて。さて、どう誤魔化して切り抜けようか。と、無理やり本心を吐き出すことを余儀なくされた哀れな息子は、回転速度の落ちた頭を必死に動かす。

けれどそこには、もう一つ大きな問題があって。


「ねー。ちさよくわからへんかった。セナはマナのお嫁さんにならないってこと?」


すっとぼけたちーちゃんの発言に、一気に色んな部分の力が抜けた気がした。

「ちーちゃんは、もう少しお話をちゃんと聞くようにしましょうね」
「ちゃんと聞いてたよ?でも、途中から色んな話になって、よくわからなくなってんもん。ちゃんと順番に話してくれへんから」
「せやな。俺らが悪かった」
「でしょ?」
「せやせや。だからそんな顔せんといて。な?」
「もう…はるは…」

ぶぅっと膨れたちーちゃんのご機嫌を取ろうと、ハルさんはすっかり嫁バカモード全開で。呆れた聖奈がドスンと俺の胸に凭れかかり、「あーあ」とボヤキながら頭を預けた。

「セナ」
「はい?」
「というわけだから、もう少し待て」
「はい」

本当は文句の一つも言いたいくらいだろうに、聖奈は笑って頷いてくれた。こうゆうことをされると、コイツには勝てないと実感させられる。何か…どこか腹立たしい気もしないでもない。

「一つお願いがあるんですけど」
「ん?」
「いつかマナとセナの間に子供が生まれても、マナははるのようにならないでいてくれますか?」
「は?」
「あんな父親を見て育つと、自分の母親は相当なおバカさんなのではないかと思ってしまいます」
「あー…努力します」

聖奈とて、ちーちゃんを嫌っているわけではない。これもやはり…ハルさんのせいだろう。言葉にしてしまうと怒りの鉄拳どころでは済まされそうもないので、自重するけれど。
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