state of LOVE
「んあー」
「お?起きたか。おはようさん、美緒」
にっこりと笑うハルさんに覗き込まれ、美緒は目をパチクリと瞬かせた。そして、ふぇっ…と表情を歪めると、火が点いたように泣き始める。
いったいどうしたというのだろうか。さっぱりわからない俺は、取り敢えず暴れ始めた美緒を宥めるべく聖奈を離して手を伸ばした。
「美緒、どした?」
「わー」
「わーじゃわかんねーよ」
「だーだー」
「おっぱいかな?」
「いやいや。赤ん坊やないんやから」
抱き上げようとするちーちゃんを制し、ハルさんはよいしょと美緒を肩に担ぐ。そのままポンポンと数回背を叩くと、どうやら落ち着いたらしい美緒はぐすんと鼻を鳴らして泣き止んだ。
「わー…さすがですね」
「そりゃまぁ、パパですから」
「そう言えばそうでしたね。今の今まで忘れてました」
「そりゃどうも」
嫌味たっぷりの俺にベッと舌を出し、ハルさんは片手を差し出す。反射的にその上に手を乗せると、「あほか」と冷たい言葉が返ってきた。
「おむつちょうだい」
「おむつ、ですか」
「持って来てへんのか?」
「ここにありますよ」
サッと視界に入った白い物は、どうやら聖奈の持ってきた紙袋から出てきたらしい。へぇ…と感心する俺に、やれやれ…と聖奈が肩を竦めた。
「おむつとおやつは大切ですよ」
「勉強になります」
「しっかりしてください」
「お前に言われると無性に腹が立つのは何で?」
「嫁をナメんなよ!ってところでしょうか」
「言うねー」
あんなに落ち込んでいたくせによく言う。と、ポンッと頭を撫でてやる。
こうして見ると、ハルさんはまだまだ「パパ」で通る気がする。実際、陽彩が産まれたばかりだし、聖奈の父親でもあるのだけれど、さすがに40代後半には見えない。仕事をしている姿を見ていれば余計にそう思う。
「何か…ああして見てるとハルさんの子みたいだな」
「不吉なことを言わないでください」
「いや、そうゆう意味じゃなくてさ」
否定したものの、今朝の夢を思い出して眉を顰めた。夢の中では、確か俺の娘だったような気がする。
けれど、顔はハルさんにソックリだった。
「お?起きたか。おはようさん、美緒」
にっこりと笑うハルさんに覗き込まれ、美緒は目をパチクリと瞬かせた。そして、ふぇっ…と表情を歪めると、火が点いたように泣き始める。
いったいどうしたというのだろうか。さっぱりわからない俺は、取り敢えず暴れ始めた美緒を宥めるべく聖奈を離して手を伸ばした。
「美緒、どした?」
「わー」
「わーじゃわかんねーよ」
「だーだー」
「おっぱいかな?」
「いやいや。赤ん坊やないんやから」
抱き上げようとするちーちゃんを制し、ハルさんはよいしょと美緒を肩に担ぐ。そのままポンポンと数回背を叩くと、どうやら落ち着いたらしい美緒はぐすんと鼻を鳴らして泣き止んだ。
「わー…さすがですね」
「そりゃまぁ、パパですから」
「そう言えばそうでしたね。今の今まで忘れてました」
「そりゃどうも」
嫌味たっぷりの俺にベッと舌を出し、ハルさんは片手を差し出す。反射的にその上に手を乗せると、「あほか」と冷たい言葉が返ってきた。
「おむつちょうだい」
「おむつ、ですか」
「持って来てへんのか?」
「ここにありますよ」
サッと視界に入った白い物は、どうやら聖奈の持ってきた紙袋から出てきたらしい。へぇ…と感心する俺に、やれやれ…と聖奈が肩を竦めた。
「おむつとおやつは大切ですよ」
「勉強になります」
「しっかりしてください」
「お前に言われると無性に腹が立つのは何で?」
「嫁をナメんなよ!ってところでしょうか」
「言うねー」
あんなに落ち込んでいたくせによく言う。と、ポンッと頭を撫でてやる。
こうして見ると、ハルさんはまだまだ「パパ」で通る気がする。実際、陽彩が産まれたばかりだし、聖奈の父親でもあるのだけれど、さすがに40代後半には見えない。仕事をしている姿を見ていれば余計にそう思う。
「何か…ああして見てるとハルさんの子みたいだな」
「不吉なことを言わないでください」
「いや、そうゆう意味じゃなくてさ」
否定したものの、今朝の夢を思い出して眉を顰めた。夢の中では、確か俺の娘だったような気がする。
けれど、顔はハルさんにソックリだった。