推理はラテを飲みながら#00-全ケータイ小説読者への挑戦状-【完】
「お、奥さんじゃありません。ワタシは……独身です」
会話の最中も、天井に向かってのぼる湯気。
椅子の柄にヴェールをかけるようなそれがうっとうしく、匠が視線を落とすと。
――このカップ……。
ココアが入っているカップは、姫子がラテ・マキアートを啜っていたものと同じだった。
『お姉ちゃん、髭生えてる……』
『えっ、あ、ヤダ……ふふふっ』
ふと思い出される、大好きだった佐伯姫子の声に、匠の視界が揺れる。