未来へ
その日は全校が学校祭準備のため部活も休みで、私は強引な紗英の後押しもあり、藤堂君と一緒に帰ることになった。

藤堂君の家は私の家とは反対方向だったけど、家の前まで送ってくれた。

当然のように手をつないで家までの道を歩く。

「なんか、照れるね。私、誰かとつきあうの初めてなんだ。」

「オレもだよ。いままでホントサッカーばっかりやってたからさ。」

すっかり暗くなった道を歩いていると、小さな公園があった。

「ちょっと寄って行こうか。」

いつもの通学路だけど、一人で帰る時にはこの公園に立ち寄ることはほとんどない。

公園のベンチに二人で腰掛ける。

さすがに今の時間は誰もいなくて、数少ない街灯が瞬いている。
< 52 / 115 >

この作品をシェア

pagetop