甘い無口な彼氏



「ほらぁー。彼氏様はいいって言ってるんだからいいでしょ?」

「ええぇ…、」

「透弥、説得しろよー」


伶くんが言った何気ない言葉に、透弥くんが小さく息を吐いた。


「比奈」

「へ」

「一緒に泊まりたい」

「!!!」

「だめ?」


まるで子犬がおねだりするみたいに、私の瞳をじっと見つめる透弥くん。

こんな聞き方、ず、ずるい!


「い、いいよ…」

「(さすが。惚れた弱み!)」


ニヤニヤ、と私を見る幼なじみ二人に、かあ~っ、と顔が赤くなるのが分かった。


そんな私の頭を撫でてくれた透弥くんは、やっぱり優しいと思う。


二人はそんな場面すら、ひやかしていたけど。



< 35 / 37 >

この作品をシェア

pagetop