★ 理想のコイビト ★
パッチリとした大きな瞳に、ぷっくりとした薄いピンクの唇。



頬に掛かるフワフワの色素の薄い髪に指を伸ばし、それをクルクルと弄べば、さっきまで真っ白だった頬が、ポッと桜色に染まる。



「どうしたの?」



「んー…」



目付きが悪くて真っ黒な髪。



無愛想…とまでは言わないが、全く可愛いげのない俺とは正反対の繭。



こんな天使みたいな子が彼女で、不安にならない男はこの世にいるのだろうか?



いや、一応彼氏である俺はこの上なく不安だ。



不安で不安で仕方がなくって、つい女々しくなってしまうのは仕方がないことだと思う。

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