鎖~kusari~
「春馬理事……。あの、私出来るか分かりませんが、頑張ります。いきなり大きな事言われて正直戸惑ってます…でも、皆さんのお力になれたら…」

春馬理事は大きな手で私の頭を優しく撫でた。

「ははは、ありがとな…先生」

春馬理事の不意の優しい笑顔にドキッとした。
赤くなったであろう自分の顔を見られるのが恥ずかしく、私は視線を下に落とした。

「はっ、春馬理事!頭を撫でないで下さい!髪の毛が…」





帰りは春馬理事が職員寮まで送ってくれた。

靴を脱いで家に入った瞬間、どっと疲れが押し寄せた。

今日1日で、一ノ瀬家の深い何かを見た感じがする。
きっと今日、春馬理事が話した事はほんのさわりにすぎないだろう……。

ソファーに深く座り込んで大きくゆっくりと深呼吸をした。


私は一体どうやって、一ノ瀬家の人たちを呪いから解放すればいいのだろう……?

別に産まれもって魔法のような力を持ち合わせている訳でも無いし…。
頑張りますと言ったものの、何も思い付かない……。


< 22 / 25 >

この作品をシェア

pagetop