pierce,prince




ほんとうにわかってるなら
あたしはいま、
こんな想いしてないよ…。



家に一歩一歩近づくにつれて
雨がぽとり、ぽとりと
静かに降ってきた。


家までは──…
もうちょっと歩かなきゃ。



歩道をすれ違う人々は
みんな傘をさしている。

すれ違うたびに
奇妙な視線を浴びせられる。


学生がこんな時間に
雨のなか傘もささないで
歩いてるんだもんね。

頭に客観的にイメージした
あたしのいまの姿が浮かんで
なんだか笑えてくる。



ふと、信号で立ち止まると
あたしに言葉が投げかけられた。



「きたねー格好
してんじゃねーよ。」


それは虫の息のような
小さな声でしたなかったけど
あたしの耳には
しっかりと届いてしまった。


道行くサラリーマンから見れば
いまのあたしは
その言葉のまんまなのだろう。


あたしがぜんぶ悪いんだって
わかっていても…
ちょっぴり、傷つくよ…。



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