pierce,prince
すると、突然───‥
あたしに頭から降り注ぐ雨が
何者かによって遮られた。
「…なにしてんの。
風邪引くよ。」
それは、低い声色だった。
『いいの…もう引いてるから。』
あたしはまた、仮病をつかう。
「…じゃあ、ちょっと待て。」
その男は終始うつむいている
あたしに無理やりに傘を持たせ
どこかへ走っていった。
ちょっと待てって…
あたしをどうするつもり?
家まではあともう少しだから
お願いだから…
あたしを帰らせてよ…?
あたしの大好きな葵との
想い出がいっぱいの
あの家に…帰らせて…。
「──‥おい!大丈夫かッ?」
────‥あたしの意識は
ここで、途切れた。