pierce,prince



ううん。

葵はそんな人じゃないことぐらい
わかってる。



「俺、海が倒れたとき
週刊誌の取材だったんだ。」


『取材?』


「ま、取材っつっても
今週のイチオシアイドル
みたいな連載コーナー
のちょっとしたインタビューと
撮影だけだけどな。」



『雨なのに…外で
撮影してたの…?』


インタビューを外でするとは
考えられなかった。

常識として。



「今度やらせてもらう
全国ツアーのコンセプトが
“雨に濡れても…”なんだ。」



全国、ツアー…。



「たとえ僕は雨に濡れたとしても
ずっとずっと君のことを想ってる
…みたいな。
俺アオイだから爽やかな感じに
したかったらしいけど…
なんか間違ってるよなッ!」



『…葵。あたし聞いてないよ?』



「ん?あ、言ってなかったな。」


葵は小さく咳払いをした。

それさえもいまは…
苦しくてたまらないよ。



「俺、来月から全国ツアー
やらせていただきます…!」



なんで…なんでッ…!

あたしにいちばんに
言ってくれなかったの?



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